この投稿について
この投稿ではEOS R5 mark IIにEF800mm F5.6L IS USMという古いEF大砲レンズをつけて野鳥撮影する場合、どのくらい撮影できるのかをレビュー的にまとめたもので、撮影のコツもあわせて紹介します。
古いEFレンズでの実際の撮影レビューになりますので、特にRFレンズは高すぎて手が出ない人にとってレンズ選択の参考になれば。
レンズのタイプ
EOS R5 mark IIで使うレンズは大きく分けて3タイプにわけられます。
RFレンズ
当然ですが、RFレンズはEOS R5 mark IIの性能をフルに発揮できるレンズです。
RFレンズの中で性能差はあるもののレンズ⇔ボディの通信速度はマウントレベルで担保されていますので、レンズ制御面は非常に高速です。
RFロクヨンは今のところは間違いなくEOS R5 mark IIにベストなレンズですが、残念ながら光学系は一眼レフ時代のものでEF600mm F4L IS III USMと全く同一であるため、160万円を今このタイミングで投資するか悩む人が多いのが現実です。
2026年にはRF600mm F4L IS USMの後継レンズが発売されるという噂もあるので、悩ましいところですね。
EF II型以降、最高連写速度対応レンズ
EF600mm F4L IS II USMのように「EOS Rシリーズで最高連写速度を出せる」とCanonが公開しているレンズ。
2011年くらいにEFレンズの通信プロトコルが改良されたのか、それ以降のレンズではEOS Rシリーズボディでも制御できる範囲が広いようです。
このグループに含まれているレンズは、基本的にまだ当分の間はEOS Rシリーズでも満足に使えると考えて良いとは思います。
ただEF600mm F4L IS II USMをはじめとしてCanonの修理対応期間が終了しているレンズもありますので、その点は注意で。
EF II型より前、最高連写非対応レンズ
「EOS Rシリーズで最高連写速度は出せない」となっているレンズ。
その中ではEF800mm F5.6L IS USMは2008年発売ですのでまだ比較的新しいですが、EF I型などは1990年代のレンズなので更にAFスピードなどは厳しいものがあるとは思います。
「EOS Rシリーズで最高連写速度を出せるレンズ以外」がこのグループになりますので、どこまで性能が出せるかはレンズ毎に確認が必要ですが、今回はEF800mm F5.6L IS USMで検証しました。
EF800mm F5.6L IS USMはこのグループではあるものの、Canonの修理対応期間は2029年までだったりします。
野鳥撮影のシチュエーション
だいたい野鳥撮影は私の守備範囲ではこの4種類に大別できますので、それぞれのレビューやコツなどを紹介します。
- とまりもの撮影
- 低速動体撮影(猛禽)
- 高速動体撮影(カワセミ)
- 特殊動体撮影(MF置きピン)
同じ「MF撮影」でも、MFで撮影する理由が違いますのでそれぞれで書いています。
とまりもの撮影
とまりものについては当然撮影はできますが、案外AFが揺れる感覚がありました。
RF600mm F4L IS USMと比べると歩留まりは低いため、歩留まりを高めるためのコツも紹介します。
ハンチング的な挙動がみられる
RF600mm F4L IS USMを使った場合にはこのような挙動は見られないのですが、EF600mm F4L IS II USMやEF800mm F5.6L IS USMを使ったときには、ボディで動物検出や瞳AFに成功していても常にピントが揺れる感じがあります。
これがマウントの仕様的にレンズ⇔ボディ間の通信量や精度が違うせいなのか、レンズの手振れ補正などによるものなのかはわかりませんが、EFレンズ使用時は「とまりものは数枚撮ったらOK」とは思わずに「できる限り連写しておく」のが無難です。
RAW現像時に等倍に拡大してみると明確に違いがあることが多く、この粒度では撮影時にプレビューでの確認は厳しいため現場での確認で「OK」と思わずにとりあえず連写しておきましょう。
シャッタースピードは少し速めに
RF600mm F4L IS USMを使ってからEF II型以前のレンズを使うと、ガチピン度が低下するのが感じ取れます。
被写体ブレまであると掛け算で更にガチピン度は低くなりますので、EFレンズでの撮影時にはRFレンズよりはシャッタースピードは少し高めで撮った方が歩留まりが向上します。
もちろん手振れ補正もRFレンズの方が高性能ですので、その分も考慮してISO100~400といったあたりを無理に狙わずにISO 1600程度でSSを上げておいた方が無難なことが多いですね。
EOS R5 mark IIでは、ISO1600程度ならDxO PureRAWを通すなら画質にはそこまで影響はありません。
プリ連続撮影で保険撮影
動体ではありませんが、プリ連続撮影による保険ショット撮影が非常に有効です。
1枚だけしか撮っていなくても、半押しの時間が長ければ15枚撮れていますのでブレ対策には最適ですね。
この機能はEFレンズでも使える機能ですので有効活用しましょう。
また、とまりものでもチョロチョロと動き回る鳥を「半動体」のような感じで撮影する場合も多く、そういう場合にも「あ、いまの動き良いな」と思った瞬間にシャッターボタンを押し込めば間に合うため非常に使いやすいです。
MF撮影によるAF誤動作対策
デフォーカスや枝の間を抜くようなシーンではAFが効かない場合が多いので、即座にMF撮影に切り替えた方が撮影成功率が高まります。
この点ではRFレンズとEFレンズはそんなに差はないのですがハンチング的な挙動がEFレンズはきついので、余裕があるときは何枚かはMFで撮っておくとよいかもしれません。
とまりもの撮影では鳥がずっと同じポーズで固まっていることがあるので、案外撮影チャンスは多かったりします。
EFレンズの画質について
これはEF II型以前とEF III型以降の画質の違いの話になるんですが、EF II型以前は「撮って出し」でデジタル処理をしなくてもそのまま現像できる画質になっています。
なので良い意味では色味の調整がほぼ必要ないという利点があり、悪い意味では初めからCanon的な色味で出てくるので補正はしづらい傾向があります。
私はCanonの色味がもともと好きで使っているのでこちらの方が良いのですが、そうじゃない人は少し大変かも知れません。
また、EF II型以前のレンズは解像力が高い傾向がありExtenderをつけても画質劣化が小さく、シャープネス処理なしでも十分場合が多いですね。
RFレンズは軽量化やAF性能、手振れ補正などが優秀なので今のところはこの辺りはトレードオフです。
Canonがミラーレス設計のガチRFロクヨンでも出してくれたら解決なんですけどね。
低速動体撮影(猛禽)
猛禽撮影については、問題なくこなせたというのが正直な感覚です。
EOS R5 mark IIのAF性能が、レンズのAFスピードが多少遅くとも問題にならないくらいに向上している事が体験できます。
あまりにも問題がなくて拍子抜けだったので「EFレンズだからこうする」といったものはありませんがコツも紹介します。
必要十分なAF性能を発揮
猛禽の中でもスピードが速いハヤブサを相手に撮影してみましたが、猛禽類では少なくともEOS R5 mark II + EF800mm F5.6L IS USMで特に困るところはありませんでした。
以前の記事にも書きましたが、むしろ「あれ...ここまで問題なく使えるの?」という拍子抜けした感覚ですね。
手前に向かって飛んでくるときに少し追従が遅いかなという感じはしますが、とれないとか追従しないとかそういうことは全くないですね。
猛禽は近くで撮れる場合でも30mくらいは離れていますし、速いといっても至近距離の小鳥の方がやはり厳しいです。
猛禽の場合は、AF設定的にも粘る方向の設定で問題ないので一度掴んだら離さない感覚で撮影するのがよいかと思います。
連写スピードも安定
サーボAFの場合はEF800mm F5.6L IS USMでの連写スピードは20コマ/秒程度に制限されます。
ただ20コマ/秒は猛禽相手ではかなり使い勝手がよく、十分高速な連写スピードです。
またEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMの頃は「シャッターボタンを押しているのにシャッターが切れない」という状況が多くありましたが、EOS R5 mark IIではそういうシチュエーションはほぼありません。
これは、EOS R5 mark IIのAFでは「ピントが何にも合っていない」という状況が起きにくいのも理由の1つで、EOS R7と比べると随分快適になりました。
連写スピードが一番の心配だったのですが、これが安定しているので実際のところは何とでもなりますね。
プリ連続撮影で必要な瞬間だけを切り抜き
猛禽撮影ではプリ撮影が非常に強力です。
猛禽は長く飛翔するため、ずっと連写するとEOS R5 mark IIのバッファはすぐに尽きてしまいますし、メモリカードもすぐに一杯になります。
シャッター半押しでプリ連続撮影しつつ被写体を追いかけて「良いシーン」がきた瞬間にシャッターボタンを押し込めばバッファフルを避けつつ「良いシーンの前後のみ」を切り抜いたように保存できます。
プリ連続撮影がなかった時は「良いシーン」がきた瞬間にシャッターボタンを押し込んでも遅いためずっと連写し続けるしかなかったのですが、非常に楽になりました。
もちろんEFレンズでも問題なく使えます。
高速動体撮影(カワセミ)
カワセミ撮影では流石にRF600mm F4L IS USMと比べて大きな違いがありました。
ただ全く撮影できないかというとそういうことはないので、違いとコツを紹介します。
AFスピードには大きな差
猛禽は古いEFレンズでもさほど問題はなかったのですが、やはりカワセミの飛び込み撮影では大きな差がでます。
これはEF600mm F4L IS II USMを使っていた時にも感じていたことですが、水に潜って浮上してきた瞬間に被写体に即座にピントを合わせてくれず、被写体にAF合焦エリアは出ているのにピントが合っていないという事が多いです。
RF600mm F4L IS USMではこういうケースはほぼないんですよね。
感覚としては30コマ/秒換算でRF600mm F4L IS USMが1~2コマでピントをあわせてくれているとしたら、EF600mm F4L IS II USMで2~3コマ、EF800mm F5.6L IS USMは3~4コマくらいの感覚です。
これはつまり浮上した瞬間はほぼピントが合わないという事で、なんとかして浮上前からうまくピント面を合わせておかないといけないため工夫が必要そうです。
歩留まりがRF600mm F4L IS USMが90%としたら、EF600mm F4L IS II USMは60%、EF800mm F5.6L IS USMは50%くらいですかね...?
ただEOS R7の頃は10%くらいだったので、それを思えば普通に使えるレベルではあります。
これに関しては「現時点では」という事ですので、もう少し回数を重ねて工夫してみようかと思います。
連写スピードは安定
これについては猛禽撮影と同様です。
20コマ/秒が安定して出てくれている感じがあるので「これだけ出てたら別に困らない」というのが正直なところですね。
16コマ/秒⇒30コマ秒って全然違う感じがするんですが、なぜか20コマ/秒⇒30コマ/秒って「ちょっと速くなったかな」という感覚になるんですよね。
あとはEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMの時に比べたら天国という感じ。
あきらめていたミラーレスでのEF800mm F5.6L IS USMカワセミ撮影を、これから少し掘ってみようかと思えました。
プリ連続撮影でレリーズタイムラグを解消
プリ連続撮影はAFの作動開始の感覚がズレるので、使ってみて自分の感覚に合うかどうかで評価は変わりそうです。
私はカワセミが着水する瞬間にシャッターを入れるのですが、その場合はプリ連続撮影はレリーズタイムラグの短縮のようにつかえるため有効です。
私の場合はどうしても着水の瞬間にシャッターを押しても、ほんの少し遅れるんですよね。
もちろんこれが悪さして失敗するケースもありはするんですが、どちらかというと助かっているケースが多いかなと。
ブラックアウトフリー撮影によるレンズ制御抑制
ブラックアウトフリー撮影は、RFレンズと古いEFレンズでは挙動が全く違います。
RFレンズではブラックアウトフリーONの間は常時レンズの絞り羽根が設定値で固定されているのに対して、古いEFレンズはシャッターを切った時(またはプリ連続撮影を開始した時)に初めて絞り羽根が固定されます。
古いEFレンズでは表示Simulationで絞り反映の設定はできないのに、ブラックアウトフリー撮影はONにできるので無理矢理やってる感じはありますね。
「最高連写速度に対応しているEFレンズ」でどうかは検証できてないのですが、EFレンズ共通かもしれません。
RFレンズではブラックアウトフリーの方がレンズ制御がシンプルになるので、連写スピードが向上するなど良い影響がある場合が多いです。
EFレンズでは無理矢理ブラックアウトフリーっぽくしてる関係で逆転現象が起きるかもしれないので、これに関しても今後もうすこし回数を重ねて検証してみます。
F値を上げて被写界深度を深く
EFレンズはAFスピードが遅いので、それに対抗するためにF値を上げるのも手じゃないかと思います。
被写界深度は800mmレンズの場合は、以下のようになります。
| 距離/絞り | F5.6 | F8 | F11 |
| 10 m | 4.8cm | 6.9cm | 9.5cm |
| 15 m | 11.2cm | 16cm | 22cm |
| 20 m | 20.2cm | 28.8cm | 39.6cm |
| 30 m | 46cm | 65.7cm | 90.3cm |
カワセミの胴体は横幅で5cm程度な気がしますので、距離15mや20mだとF8で撮るとかなり成功率は高まりそうですね。
逆に距離10mではちょっと撮るの無理なくらいですね🤣4.8cmて
EF800mm F5.6L IS USMではシャッター時に絞り羽の制御が入っても(つまり絞り開放以外でとっても)、連写速度が落ちる感じはなかったのですが、これについては他のレンズでどうかは怪しいので確認してください。
MFによる連写速度の向上
EOS RシリーズはMFで撮る場合には、古いEFレンズでも最高連写スピードが出ます。
EOS R5 mark II + EF800mm F5.6L IS USMでも30コマ/秒でますし、Extender x1.4をつけても30コマ/秒でます。
MFによる連写速度の向上はカワセミ撮影では飛び出し撮影で有効に使えます。
ただここでいうMFは完全なMFですので、AF-OFFではなくレンズ側のAF/MFスイッチでMFに切り替える必要があります。
飛び込み開始時はMFで連写速度を稼いですぐにAFに切り替えて着水をとるというのがやりたいので、次で紹介するワンショットAFを使う方がよい場合もありますね。
ワンショットAFによる連写速度の向上
ミラーレスではめっきり使わなくなったワンショットAFですが、古いEFレンズでは大きな利点があります。
実はワンショットAFでも、MFと同様でEOS R5 mark II + EF800mm F5.6L IS USMでは30コマ/秒の連写ができます。
何がうれしいかというと、EOS R5 mark II + EF800mm F5.6L IS USMではONE SHOT⇔SERVOの切り替えはボタンに割り当てられるのでレンズ側のスイッチを触らずとも即座に切り替えられるんですよね。
MF撮影する場合でも被写体の近くまではAFでピントを合わせたいのもあるので、非常に都合が良いです。
ワンショットAFならボタンを押してる間だけAF-OFF機能を使っている場合でも最高連写速度は出ますので、手元操作だけで最高連写速度の出せるMF撮影に切り替えることができるわけですね。
カワセミでは飛び出しをとる際にワンショットAFでピントを合わせて、そこからプリ連写撮影で飛び出しを最高連写速度で撮影、レンズを振りつつサーボAFに切り替えて飛び込み撮影という操作が可能ですので、まさかのワンショットAF復権です..。
また、とまりものをワンショットAFで撮るとどうなるのかな?というのもあるのでこれから試していきたいと思います。
特殊動体撮影 (MF)
こちらは特殊ケースですが、案外使えるシーンは多そうなので紹介しておきます。
MF+プリ連続撮影による置きピン撮影
今年はアカショウビンの巣穴掘りを撮影する機会に恵まれたのですが、MF置きピン撮影してみて非常に良い結果がでました。
巣穴から突然飛び出したり、見えない場所から突然巣穴に飛んでくる被写体を撮影する場合はAFではなかなか追従できません。
ポジショニングを調整して置きピンでもピントが合う状況を確保して撮影することで、MFの方が有利な場合があります。
もちろん古いEFレンズでも30コマ/秒撮影できますので、使えるシーンでは積極的に使いたいですね。
また全くAFを気にしなくてよいのでExtenderをつけようが撮影に支障はないため、そういう面でもいろいろ違った撮影ができて面白いですね🤣
アカショウビンの時は、EF800mm F5.6L IS USM + Extender x1.4で30コマ/秒の動体撮影とかAFではまず不可能な事をやってました。
総評
EOS R5 mark IIでは古いEFレンズでも十分に動体撮影できる
EOS R7の時はEF800mm F5.6L IS USMで動体撮影するのはかなり厳しかったのですが、EOS R5 mark IIでは普通に使えます。
これはEOS R5 mark IIのAF性能が劇的に向上して、AFが変なものを掴むことがなくなり最小のフォーカスレンズ制御でピントが合うようになったのが大きく、古いEFレンズでのAF安定性につながっています。
RF600mm F4L IS USMからEF800mm F5.6L IS USMに変えて「当分は大砲を使った動体撮影は無理かな」と思っていたんですけど、これは嬉しい誤算でした。
ただし、カワセミではさすがにRFやEF II形以降のレンズとは大きな差はでますので、そこはスキルでカバーが必要です。
0か1かではなくリニアな性能差
EOS R7の頃はEF800mm F5.6L IS USMでの動体撮影は、正直「どうにもならないレベル」でした。
AFが全く安定せず、連写速度以前にシャッターが切れない場面も多く、諦めてハナからとまりもの撮影だけしていました。
EOS R5 mark IIでは「そのレンズのAF性能相応に使える」という感じですね。
ですのでEF800mm F5.6L IS USMの場合は「AFは少し遅くて連写は20コマ/秒だけど、他はRF600mm F4とそんなに変わらない」という感覚。
どちらかというとEOS Rシリーズのボディは新しいボディが発売されるにつれて、古いEFレンズは切り捨てられて使いづらくなっていくのかなと思っていたんですが、EOS R5 mark II(もちろんR1も)は逆に古いEFレンズでも使いやすくなっています。
これについてはCanonに拍手ですね...かなり見直しました。
さてとりあえずざっと使ってみて、EF800mm F5.6L IS USMでも十分動体撮影できるのはわかったのでしばらく遊んでみます。
いつかRFロクヨンII型が発売されたらロクヨンに戻るにしても、やはりこういうのは楽しいですね🤣
残暑が厳しいですが頑張っていきましょう。