世の中はChatGPTで盛り上がっていますが、写真の方の加工もAIで盛り上がってますね。
前回Photoshopのスーパー解像度が効果的だったので、その他のソフトウェアも試行錯誤していきます。
4KモニターのPCで見ることをオススメします。
今回使用するソフトウェア
PureRAW3
定番?のAIノイズ除去ソフトウェア。
前回Photoshopのスーパー解像度を使った感じ、ノイズがかなり厳しかったので使ってみることに。
ただ、EOS-1D X mark IIIには対応しているのですが、EF800mm F5.6L IS USMには対応していないのでレンズ補正は使えません。
正直このクラスのレンズは、レンズ補正なんてあってもなくても変わらないので気にせず使います。
¥14,900で購入。
Topaz Photo AI
Topaz Photo AIは、Topaz Laboがリリースしている
- Gigapixel AI…AIを使用して画像を拡大する
- Denoise AI…AIを使用して画像のノイズを除去する
- Sharpen AI…AIを使用して画像の”ぼけ”や”ぶれ”を緩和する
という3つのソフトウェアがもととなっていて、これらをひとまとめにしたようなソフトウェアです。
今後はTopaz Photo AIを主力としていくそうな。
¥22,167で購入。
今後1年はアップデートできるようなのでこのソフトウェアの購入については完全に見切り発車。
購入しないとファイル保存できないというケチさですが、アップデートがかなり頻繁に行われているので少し追って行こうかと。
Photoshop CC
Photoshopは CSとかCCとかじゃなかった頃からずっと使っていて、もう20年近く使っています。
で、スーパー解像度が導入されたのでまたお世話になる事に。
今回はレタッチなどはしないので本当にスーパー解像度の為だけです 😛
これはサブスクリプションでそんなにお値段はしません。
CaptureOne
これはAIには関係ないですが、結局最終的なRAW調整はCaptureOneに頼ることになる感じですね。
ですので、上のソフトウェアであーだこーだした後に、最終的にはCaptureOneに持っていきます。
これもサブスクリプション、結構お高いですが最終的なオーサリングソフトとしては今はこれ以外考えられないですね..。
試すこと
各ソフトウェアで得意としていることは
ソフトウェア名 | できる事 | 入力 |
出力 |
PureRAW | AIノイズ除去、AIシャープネスなど | CR3,DNG | DNG |
Topaz Photo AI | (今回は)AIノイズ除去、AIアップスケーリング | CR3,DNG | DNG |
Photoshop | (今回は)AIアップスケーリング | CR3,DNG | DNG |
CaptureOne | RAW写真の調整全般 | CR3,DNG | JPG |
概ねこんな感じです。
RAWファイルはAdobeがDNGフォーマットを作ってくれているおかげで変換の中心になるので良いですね。
どこまでRAW画像のパラメータが保持されているのかは怪しいですが。
今回試したいのは以下の4つ。
AIノイズ除去 | AIによるノイズ除去がどこまで効果があるのか。 これに関しては害がないようなら常時かけても良い。 |
AIアップスケーリング | AIによるアップスケーリングはどこまで効果があるのか。 前回スーパー解像度を試しましたが、使った方が良い場面と使わない方が良い場面がありました。 調整などで常用できるのか。どこまで使えるのか。 |
メタ情報 | EXIF情報やカラー情報が失われるとかなり面倒なので、変換の過程で再起不能にならないかなど。 |
所要時間 | 処理にどのくらいの時間がかかるのか、無差別に変換して現像時間的に耐えられるのか。 |
EOS-1D X mark III + EF800mm F5.6L IS USM の距離20mで撮られたカワセミ写真をどこまで解像度アップ&ノイズレスにできるかを主に試します。
EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMについてはそのままでも問題ないのですが、こちらもさらなる解像度アップ&ノイズレスにできるのか試します。
同じ機能の重ね掛けはあまり意味をなさないと思われるので、試すのは以下で。
フロー | 内容 |
A. Topaz Photo AI → CaptureOne | Topaz Photo AIでノイズ除去とアップスケーリングしてCaptureOneで最終調整。 |
B. PureRAW3 → Photoshop → CaptureOne | PureRAW3でノイズ除去して、Photoshopでスーパー解像度でアップスケーリング。 CaptureOneで最終調整。 |
C. Photoshop → PureRAW3→ CaptureOne | Photoshopでスーパー解像度でアップスケーリングして、PureRAW3でノイズ除去して、CaptureOneで最終調整。 |
軽く試行
A. Topaz Photo AI → CaptureOne
Topaz Photo AIを色々設定を変えて試してみましたが、このソフトウェアはAIで解像度を高めたりノイズを除去する…というよりは「AIがレタッチする」という感覚が近いです。
アップスケーリングも間を補間してくれる..というよりは、創作して描いてくれるようなイメージですね。
EOS-1D X mark IIIの場合は画素数が少ないので、画素数を高めるとかなりイラストチックになってしまいました。
あとカワセミの頭の部分はよほど解像していないと変な模様に見えるので、それをレタッチされるとブロックノイズのように見えてしまいます。
このソフトウェアは人の顔を認識して補間してくれたりもするようなので、どちらかというと人やそもそも解像度の高い写真を加工するのが得意なのかもしれませんね。
今のところこのソフトウェアはEOS-1D X mark IIIで撮った低解像度の野鳥写真を綺麗にするには合わないので、除外します。
アップデートを見守りたいと思います。
B. PureRAW3 → Photoshop → CaptureOne
加工してみた感じで言うと、このフローがかなり良い感じかなと思います。
DxO PureRAW3のみ
PureRAW3のみでもかなり綺麗にノイズ除去してくれますね。
ディテールを保持したままノッペリせずにノイズ除去してくれるのがGoodです。
スーパー解像度のみ
Photoshopのスーパー解像度。
アップスケーリングして比較的ディテールは残したままで解像感がUPします。
ただノイズはかなりのっていますね。
DxO PureRAW3 + スーパー解像度
PureRAW3とスーパー解像度の良いとこどりをしたような感じですね。
ノイズはほぼ取り除かれています。
少しクチバシの元の方の水滴が別のものに見えてしまうような感覚はありますが、ドットバイドットで見て少し気になるかなくらい。
かなり良い感じではないでしょうか。
C. Photoshop → PureRAW3→ CaptureOne
これなんですが、Photoshopでスーパー解像度にした後にPureRAW3をかけると、なぜか元の画素数に戻ってしまいますので除外。
あと、ぱっと見ですがノイズ除去を行った後でスーパー解像度をかけた方が綺麗な感覚はありますね。
加工例 (PureRAW3 → Photoshop → CaptureOne)
カワセミ1
これは上で試していたやつの現像です。
かなり良いですね。
加工後フル
カワセミ2
結構ノイジーな写真ですがノイズ低減と解像度向上できています。
前にスーパー解像度だけで試したのですが、ノイズが乗っているデータをアップスケーリングするとノイズごと目立つようになるので、PureRAW3をかけてからアップスケーリングでどうも決まりですね。
加工後フル
カワセミ3
これはEOS R7で撮ったもので、スーパー解像度だけだと前回はかえって汚くなっていたのですが、PureRAW3をはさむと大丈夫ですね。
EOS-1D X mark IIIで撮ったものと比べるとそこまで強烈に変化するわけじゃないですが、ノイズ低減と解像度も若干向上できています。
加工後フル
ヤマセミ1
解像度はあまり変化してませんが、ノイズは減ってますね。
ただ、EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMの場合は解像度が足りてれば無理に加工しなくても良いかなという印象。
加工後フル
ヤマセミ2
EOS-1D X mark IIIで撮ったものは画素数が足りてないので、すべからく解像度UPはできてますね。
ただ、これも比較的解像度は足りてるのと、ヤマセミ自体が羽毛の1本1本…という感じの鳥ではないので効果は薄。
加工後フル
ルリビタキ
等倍で見ると多少のノイズ軽減はできている様子。
画素数を増やしたうえでシャープネスをかけているので、低画素でシャープネスをかけた時に起こる「線が太くなる」現象がかなり抑えられて、羽毛がかなり繊細に感じますね。
加工後フル
ベニマシコ
もちろんですがEOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMでも、30m越えで撮った小鳥などは画素数が足りないのでかなり有効。
こちらも繊細な感じがします。
EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMはとうとう40mでも小鳥いけちゃいそうですねぇ…。
加工後フル
モズ
これは以前EOS R7 + EF400mm F4 DO IS II USMで撮ったものです。
結構遠くて全く解像度がたりてませんが、PureRAW3 + スーパー解像度で見事に蘇っています。
若干線は太いですがこれはかなり凄いですね。
加工後フル
結果
注意点
変換速度
各ソフトウェアはGPU対応してきてはいるものの、まだまだ結構変換に時間がかかります。
変換処理自体にはほとんどパラメータを与えなくて良いので待ち時間だけなため、なんとか実用的かな?という感覚。
私はエンジニアなこともあって、ノートPCとは言えまともなGPUを積んだものを使っているのでまだマシですが、それでも遅い。
画素数も増えてAIも使って…となると将来的には現像に結構な性能のPCが必要になりそうですね。
ノイズ除去
PureRAW3はRAWデータのレベルでノイズ除去とある程度のシャープネスを処理してくれるので、最終的に現像するCaptureOneまで持ってきた際には「ノイズ除去」は0にしておかないとノッペリします。
「全然鮮明じゃないなぁ」と思って調べていたらPureRAW3でノイズ除去されているのに、CaptureOneでもノイズ除去がかかっていたせいでした。
結構気づきづらいので注意。
容量
CR3はかなり小さいのですが、PureRAW3をかけた時点で約4倍、スーパー解像度をかけた時点で約10倍の容量になります。
EOS-1D X mark IIIはRAW時点で容量がかなり小さいのでまだ1枚200MB程度でおさまりますが、高画素機で使うときは注意ですね。
総評
ではスーパー解像度を試しましたが、そのパワーは感じたもののまだまだ「限定的」という感覚でした。
ただ、それで諦めるにはもったいないくらいのパワーがある技術ですので、ちょっとあがいてみました。
結果としてAIノイズ除去と一緒に使うことでどんな場合でも概ね画質を向上させられるようになったかな?という感じです。
現像に結構時間がかかりますし、EOS R7 + EF800mm F5.6L IS USMで小鳥をある程度近くで撮った場合などは加工する必要はほぼないので「解像度が足りてないかな?」と思った写真に適用する形が良いかなと思います。
しかしここまで綺麗に加工できるなら、もう完全にカワセミ撮影は今の装備で大丈夫ですね。
EOS R7 + EF400mm F4 DO IS II USMのRAWも引っ張りだしてきて加工してみましたが、なかなか凄いです。
この現像性能があるなら、EF400mm F4 DO IS II USMは真剣に買戻しを検討しても良いかな…。
EOS R1は、なんかこの辺りの技術を複合して使って高解像度機とかいってきそうな気もしてきましたね 😛
さて、とても有意義な検証でした。