EOS R7で野鳥撮影をする際のコツや設定を紹介したいと思います。


私はスズメ~ハトくらいまでの大きさの鳥を撮ることが多いので少し偏りがあるかもしれません。

いくらかでも参考にしていただければ。


第1回 EOS R7で野鳥撮影 長所と短所

第2回 EOS R7で野鳥撮影 撮影のコツ

EOS R7の短所への対処

EOS R7はオールマイティなカメラではありません。


コストダウンのためにコアな機能以外はかなり削られているため、それによって生まれた短所への対処が必要になります。


まずはEOS R7で野鳥撮影 長所と短所で書いた通り、

  • ブレに敏感
  • ローリングシャッターの歪みが大きい
  • 連写バッファ容量が小さい

これらを対処せねばなりません。


また、

  • シャッター音が大きい
  • メカシャッターの消耗が気になる

という欠点も地味に気になりますのでこれらにも対処します。


これらはシャッターモードとシャッタースピード、ドライブの使い分けで対処できます。

ブレの種類

まず、写真がブレる原因は3つありますので、これらを理解する必要があります。

被写体ブレ

機材
Canon EOS R7 + RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
焦点距離
500mm
SS
1/500
F値
7.1
ISO
320
露出補正
0.3
撮影距離

シャッター中に被写体が動くことによって発生するブレです。

被写体だけ、もしくは被写体の一部だけがブレるのが特徴です。


当然ですが、シャッタースピードが遅いほど発生しやすくなります。


この写真は1/500ですが、これでも止めるのは困難で、ムクドリの上半身だけがブレている写真になりました。


最低でも1/200、しっかり止めようと思うと1/4000くらいのシャッタースピードが必要になります。


このブレはシャッタースピードを確保することで対処可能です。


...というか、それしか対処方法のない最も厄介なブレです。

野鳥撮影では常に被写体ブレとの戦いとなります。

手ブレ

機材
Canon EOS R5 + RF600mm F4 L IS USM + EXTENDER RF1.4x
焦点距離
840mm
SS
1/100
F値
6.3
ISO
320
露出補正
0
撮影距離
0m

撮影の際にボディやレンズの揺れによっておこるブレ。

写真全体が流れたようにブレるのが特徴です。

あまりブレた写真は残さないので上の作例はちょっと手ブレしてるかな...?くらいですが。


レンズ側の手ブレ補正や、ボディ内手ブレ補正によって軽減することができます。

実は最近の手ブレ補正は強力ですので、このブレはあまり問題になりません。


例えばR7 + RF100-500mm F4.5-F7.1L IS USMの500mmでは、6段分の手ブレ補正効果を得ることができます。


1 / 焦点距離 のシャッタースピードならブレないといわれてますので、

1 / 500 * 2^6 = 1/13

くらいのシャッタースピードでも、静止物は何とかなります。


しかし上で書いた通り、野鳥の場合はとまっていても1/200、動き回る鳥の場合は1/1000~1/2000、飛びものなら1/4000くらいのシャッタースピードがないと被写体ブレがおきてしまいます。


「手ブレ補正が強力だから、ついSSを下げてしまって被写体ブレが起きてしまう」


という事態をこそ、最も気をつけねばなりません。


現場で撮っていると、どうしても暗いのでSSを下げがちです。


私もミラーレスになって手ブレ補正が強力になって、つい1/100くらいで大量のショットを撮ってしまい、現像してガッカリした経験があります。

微ブレ

機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/160
F値
4.5
ISO
160
露出補正
-1
撮影距離

写真全体がブレますが、三脚で完全に止まったものを撮ってもブレるのが特徴。


メカシャッターの先幕が開ききって止まるときのシャッターショックがボディ内手ぶれ補正機能と共振したり、シャッターショックそのものの振動で発生します。


1/200より低いシャッタースピードのとき、メカシャッターで起きやすい(らしい)。


微ブレとも呼ばれます。


ミラーレスになってミラーショックがなくなったはずなのに、描写が甘い写真になってしまうという事例が頻発して注目されました。


この写真もカワセミが完全に静止していて、この前後にも1/200や1/50などで撮っていたのですが、三脚を立てていたにも関わらず、この写真のみに異常なブレがおこりました。


対処法はメカシャッターではなく電子シャッターを使うこと。


また、高速シャッターでは起きません(わからないだけかも)。


ただ、私の感覚的にはR7ではメカシャッターだけではなく電子先幕もあやしいような気がしています。


ただ、毎回起こるわけでもない感じもしていて、厄介なので低速シャッターでは電子シャッターにしておくのが無難でしょう。

ローリングシャッターの歪み

機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/4000
F値
4
ISO
1600
露出補正
-1
撮影距離
機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/4000
F値
4
ISO
6400
露出補正
0
撮影距離

R7では電子シャッターの高速撮影時に、盛大にローリングシャッターの歪みが起こります。


RAWバーストのプリ撮影をすると、1,2枚くらいは常に発生しています。


野鳥撮影では、鳥の羽が明らかに左右で振れ方がちがっていたり、羽の形が変形してしまうという現象になって現れます。


メカシャッターでは発生しない(気にならない)ので、メカシャッターを使うことで対処できます。

連写バッファ

EOS R7の連写バッファはお世辞にも大きいとは言えません。

RAW 30コマ/秒では2秒もたないくらいの容量です。


バッファからSDへの書き出しも結構時間がかかるため、連写枚数が多いとチャンスを逃してしまう可能性があります。


RAW 15コマ/秒では4秒程度もちますので、実際的には15コマで使うのが無難です。

どう撮影するか?

では、これらを踏まえてどういう撮り方をすればよいか?


まず、

  • 被写体ブレはシャッタースピードを確保するしかない
  • 手ブレはR7+RFレンズではほぼ問題になることはない

これらは明確な対処はできませんのでしません。


また私は高速シャッターを切る場合は、カワセミの飛び込みや猛禽の飛行を目的としていますので、飛びものととまりもの両方オールマイティな設定は必要ありません。


ですので、飛びものととまりものをわけて2つのカスタムモードに設定しています。

  • 飛びもの設定 メカシャッター、連写ドライブHi+(15コマ/秒) SS 1/2000~1/4000 ※ローリングシャッターの歪み回避
  • とまりもの設定 電子シャッター、連写ドライブHi(15コマ/秒) SS 1/200~1/1000 ※微ブレ回避、静音、連写バッファ対策、メカシャッター消耗回避

こうしておくことで、

  • ローリングシャッターの歪み
  • 微ブレ
  • とまりもの撮影時のシャッター音
  • 連写バッファが小さい
  • メカシャッター消耗

これらの対策を行うことができます。


メカシャッターはメイカーは20万回まで耐えられると言っています。


ただR7で連写してると1日で1000ショットはザラですので、メカだけを使っていると200日分。

2,3年くらいで修理になる計算ですので、普段は電子シャッターが良さそうです。


また、とまりものの時はどうしても暗い場所でISOのためにSSを確保できないときがあります。

そういう場合には1/200にはこだわらず、1/30くらいで連写してあとは祈ります ?


そういった意味では電子シャッター時の連写コマ数は30コマでも良いと思いますが、私は連写バッファが気になるので15コマにしています。


どうしても30コマ/秒撮りたいときは、ドライブを変更するのではなくRAWバーストをONにして対応しておくと、モード変更したらOFFになるので戻し忘れの防止にもなります。


あと、とまりもの撮影は音をたてるとまずい場面が多いので、そういう意味でも電子シャッターが向いています。

ISO上限とEV(露出補正)について

機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/1250
F値
4.5
ISO
640
露出補正
0
撮影距離
機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/2500
F値
4
ISO
1250
露出補正
0
撮影距離
機材
Canon EOS R7 + RF600mm F4 L IS USM
焦点距離
600mm
SS
1/16000
F値
4
ISO
6400
露出補正
0
撮影距離

このあたりは人によって感じ方も違って難しいのですが、

  • 飛びもの設定 ISOオート上限 3200 EV -1
  • とまりもの設定 ISOオート上限 1600 EV -1

としています。


ISOオートで撮ってるのは、私の撮影スタイルではどちらかというと森や林で散策しながら一期一会で撮ることが多いためです。


止まっている鳥を落ち着いて撮るというよりは、鳥を発見したらできる限り素早くシャッターを切る必要があるためです。


とまりものは上限800でも良い気もするのですが、RF100-500を使っている時はどうしても厳しい場面が多いため、1600を上限としてできる限り800でおさえるような撮り方をしています。


逆に飛びものは解像感よりは、SSを上げて動きを止めることが大事なため3200を上限としています。

カワセミの飛び込みは1/2000でもブレて1/4000でようやく羽が止まるような印象です。


上の作例を見てもわかる通り、ノイズが極端に増えますのでISO6400では厳しい印象です。

ただ、スマホなどではもちろんノイズは感じられませんし、何を撮りたいか次第ですね。


どちらもEV -1しているのは、EVをあらかじめ下げてISOを稼ぎ、RAW現像でEV +1するほうが、ISOを上げてしまうよりも最終的には綺麗に感じられるのと、鳥は白い羽毛のものが多いため白飛び対策もかねています。


もちろん、空をバックに撮っていると空の明るさに合わされてしまいますのでEVは+3とかしたりしますが、それはもうケースバイケースでその時に変更しています。

その他の小ネタ

AFエリア

R7ではトラッキングが導入されましたので、AFエリアの意味合いが大きく変化しました。


AFエリアは「トラッキングが開始されるまで、どの範囲で被写体をとらえるか」というものになり、スポット1点でもゾーンでもそのAFエリアで被写体をとらえれば、あとはトラッキングしてその被写体がどこに移動してもピントを合わせてくれるようになりました。


つまり、AFエリアはフレーム内にどのくらいの大きさで被写体をとらえているかによって、頻繁に調整するものになりました。


ですのでAFエリアを以下のように限定して、ボタンにAFエリア切り換えを割り当てています。

  • スポット1点
  • 領域拡大AF(範囲)
  • フレキシブルゾーンAF1(の初期範囲)
  • 全域AF

こうすることで、ボタンを押すたびにAFエリアが大きくなって、全域AFの次はスポット1点に戻るという挙動になります。


ただ、好みがありますのでどれを限定で残すかは各人の撮りやすいもので良いとは思います。

親指AFについて

ピントを合わせるには「シャッターボタン」と「AF-ON(AFスタート)ボタン」があります。ジャンルによって「どちらが有利か?」はありますが、野鳥撮影ではAF-ONボタンを親指で押してピントを合わせる通称「親指AF」のほうが有利になります。

Canon野鳥撮影解説

これは、既に過去の話です。


トラッキング機能をもっていない、R3やR7より前のボディでは~という事になります。

私はR5の時でもすでに親指AFは使っていませんでした。


というのも、レフ機ではサーボAFは特にとまりもの撮影で不便なところが多く、ワンショットAFを使うことが多かったのですが、ミラーレスはサーボAFでのトラッキングや被写体の認識が優秀すぎて、基本的にずっとサーボAFで撮ることになります。


レフ機で親指AFが良かったのは、ピントを合わせた後にシャッター半押しでAFがはたらいてしまうと、合わせたピントが外れてしまうという問題が大きかったのですが、そもそもミラーレスはピントが外れないんですよね。


ですので特にトラッキングが強力なR7では、ほとんどの場合はシャッター半押しでAF-ONの方が都合が良かったりします。


ただ、サーボAFとワンショットAFを切り替える必要性はほぼなくなったのですが、AFとMFを切り替える必要性は未だにあります。


そこで、私はAF-ONボタンをAF-OFFとしてカスタム設定しています。


これはそこまでオススメはしないですが、「電子式フルタイムMF」でピントを合わるときは、AF-ONボタンも押し込みながらMFしてそのままシャッターを切る感じですね。


ちなみに小ネタですが、Canonの「コンティニュアスAF」はSONYの「AF-C(Continuous AF)」とは違うものです。

SONYの「AF-C」にあたるのは「SERVO AF」ですのでCanon初めてな人は気を付けましょう :P

Canonの「コンティニュアスAF」はSONYでは「プリAF」ですね。


※なおR7の前面AF/MFスイッチは、レンズにAF/MFスイッチがあると意味がありません。

露出シュミレーション

これは私自身まだ検証できていないのですが、

普段適正露出で撮っている(露出補正を殆どしない)のであれば、それほど気にする必要はないものの、もし露出補正を大きく行なう、あるいは瞳AFを常に最高の検出条件で使いたい(AFの測距精度を最高の状態で使いたい)場合は、露出シミュレーションをOFFにした方が良い

https://article.photo-cafeteria.com/EXPsimulation.html

という情報があります。


実際に露出シュミレーションをONにしていると、暗い環境などでは明らかに処理が重くなっている感覚はありますので、飛びものではOFFにしています。

  • 飛びもの設定絞りボタン押下時のみ
  • とまりもの設定 露出シュミレーションする

とまりものでは、露出の状態をファインダーで見ることができるメリットの方が大きいのでONにしています。

照準器について

OLYMPUS 防滴機構 ドットサイト照準器 EE-1

照準器というと、飛びものを撮るときに必要と思いがちですが、超望遠レンズで素早く被写体をとらえる場合にも役に立ちます。


ミラーレスカメラは、ミラーレスカメラAFの罠などで紹介したように、ピントの前後差が激しいと、近くに野鳥がいてもピントが合わないという事が頻繁に発生します。


そういう場合にはMFをすることになるのですが、ファインダーを覗くと鳥がぼやけて全く見えませんので「確実にフレーム内に鳥がいる」という状態を担保したうえでMFしないと、見失ってわけがわからなくなります。


R7 + RF600F4L + Extender x1.4では焦点距離 35mm換算 1344mmですので、さすがに確実にとらえるのは厳しいため、Extender x1.4を使うときは私は照準器をつけることにしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?


野鳥を撮っている方には当たり前のことも多かったと思いますが、シャッターモードとシャッタースピード、ドライブまわりはR7特有なものもありますので、参考になってくれれば幸いです。


長く続いた一眼レフのいわば「アナログなAF時代」から、EOS R5で鳥AF、EOS R3やR7でトラッキングが実装されて「デジタルなAF時代」に突入しました。


今後も新しいボディが発売されるたびに、特にAF性能は大きな変化があるはずです。


最終的にはフレーム内に鳥がいさえすればシャッターボタンを押すだけでその鳥に瞬時にピントが合うようになると思いますが、この10~20年はその過渡期じゃないかと思います。


その前にスチルで撮る意味が全くなくなって、写真は動画から切り出すものになるかもしれませんがどういう時代になるんでしょうね。


EOS R7はまだ使って2~3週間程度、天気が悪いので実際は1週間くらいしか撮れていません。


R7をこえる野鳥撮影カメラはCanonからは当面出てこないと思いますので、しばらくはEOS R7を極めていこうと思います。


できれば次はEOS R7でカワセミ撮影の方法を詳しく説明したいと思っていますが、どうなることか...。

それでは、また。